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ネズミの種類と生態
日本には10属27種のネズミが生息していますが、その中でも、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種が一般に家ネズミと呼ばれ、ビルや家屋、その周辺に住みつき、私たちに様々な被害をもたらします。
■ネズミによる被害
ネズミは硬い物を齧る(かじる)習性があるため、食べ物だけでなく、建材や家具、電気や電話の配線なども齧り、電気設備を故障させたり火災を起こす場合があります。
ネズミの糞や尿は屋内や製品などを汚染します。
また、ネズミやネズミの巣には吸血性のダニ(イエダニ)が寄生・繁殖しています。大発生したイエダニが巣から離れて室内に侵入し、ダニに吸血されるといった二次被害ももたらします。 その他、病原体・寄生虫を媒介し、食中毒の原因にもなります。
ドブネズミ -Rattus norvegicus-
ドブネズミはもともと中央アジア一帯の沼沢地に生息していた野ネズミです。家ネズミ類の中では最も大きく、成獣の体長は22~26cm。 毛色は、背面が灰褐色で腹面は白色、尾は淡灰褐色の太めで体長より短い。クマネズミと違い手足の甲が白っぽくなります。
雑食性で、人間の食料や残飯、昆虫、草などを食べる。泳ぎが得意です。
日本全土に分布し、建物の地下や外周の植え込み、公共下水道の汚水枡の中などに生活していることが多い。
性格はどう猛であまり人を恐れず、咬まれることがあります。平均寿命は約3年で、生後3ヶ月目から生殖可能となり年5~6回の子供を産みます。
クマネズミ -Rattus rattus-
クマネズミは家ネズミの中では中型かつ、スマートな体型をしています。 成獣の体長は18~25cm。ドブネズミに比べて体は小さいが、耳が大きい。雑食性であるが、植物性のものを好みます。
日本全国に分布し、建物内の壁裏や物陰などにビニール片や紙くずなどを集めて巣を作り生活します。
よじ登る能力に優れ、ドブネズミと違い垂直にも行動をとります。
そのため、ビル内では配管や配線を伝って自由に活動する。近年、大都市のビル内でクマネズミが増加しています。
平均寿命や繁殖率はドブネズミとほとんど変わらない。近年、殺鼠剤(ワルファリン(抗血液凝固性殺鼠剤))に抵抗性をもつもの(スーパーラット)が出現している。
ハツカネズミ -Mus musculus-
ハツカネズミは家ネズミの中で最も小さい種。成獣の体長は6~10cm。性格が穏和で警戒心が低い。
食性は主に食植性で、もともと農村環境に生息していて、農作物や貯蔵穀物を食害する。そのため、都会より、積みワラの下や耕作地、河川敷など草むらに生活していることが多い。 その他、備品荷物の隙間に潜伏して、荷物の搬入とともに畜舎や倉庫などに入ってきます。平均寿命は1年半ほどで、生後2ヶ月目から生殖可能となり年6~10回の子供を産みます。
ネズミ退治と対策
ねずみが生息する要因には、(1)餌の有無、(2)営巣(巣を作るの)に適した場所、(3)巣材の有無、(4)自由に活動できる空間の存在などが大きく関わってきます。
この中でも特に、「餌の有無」はねずみにとって生息できるかどうかの大きな要因になるので、食品の管理が重要なポイントとなります。
ねずみの予防対策について
(侵入防止)
残飯整理や食べ物屑の後片付けなど清掃をしっかり行なうことが大切です。また、建物内に侵入されないよう、侵入口になっている穴や隙間、割れ目、配管には防鼠ブラシや金網、防鼠パテ、ねずみ返しなどを用いてふさぎます。
ねずみに隠れ家(巣)を作らないように巣の材料となりやすい布や新聞紙、ビニール袋など整理整頓を行なうことも重要です。
(忌避・ネズミにかじらるのを予防)
ケーブルや電線、設備機器類などネズミから齧られるのを予防するには、スプレータイプの忌避剤を噴霧しても有効です。
ねずみの駆除方法
(1)捕獲してねずみ駆除
ねずみを捕獲して退治します。捕獲には、粘着式ねずみ捕り(とりもちが付いたネズミ捕り)や、ねずみ捕り用のカゴ、圧殺式捕鼠器などが用いられます。
中でも、粘着シートのねずみ捕りは作業が簡単で、捕獲したネズミも衛生的に回収・処理することが可能です。
ねずみがいつも出没する場所・通過する場所は比較的警戒しないため、そのような場所を狙って設置してください。また、多数枚設置した方が捕獲されやすいため、なるべく数多くねずみ捕り(粘着シート)を設置してください。
- 周りに餌が少ないと捕獲率が上がります。設置する前に、餌となるような物はできるだけ片づけましょう。
- 粘着シートを設置した後、ねずみ用くん煙剤をたいてねずみを慌てさせ、捕獲率をアップさせる方法もあります。
(2)薬を用いて駆除
ねずみを薬(毒餌/殺鼠剤)で駆除します。ねずみは殺鼠剤(ねずみ駆除剤)を食べることによって死亡します。
無毒の餌(食品)のみを与えて、ねずみに餌場として認識させると より効果的です。はじめに、ねずみ用の毒餌皿(容器)に無毒餌を入れ、ねずみが食べ慣れてきたら(餌を食べている痕跡が見られてきたら)、そこへ殺鼠剤を混ぜます。
(この時、食品や生ごみが放置されているなど周囲に餌があると、毒餌(殺鼠剤)を食べる可能性が低くなるため、掃除や整理整頓を行ないましょう。)
★餌材料(無毒餌)の例
一般にヒマワリの種やヒエ・アワ(カナリアシード)、菓子、サツマイモ、ソーセージ、食パン、さつま揚げ、から揚げ、ごま油などがよく用いられます。(腐りやすい食品はご注意ください。)
※毒餌を作るときは、安全のために手袋やマスクなど保護具を必ず着用ください。
※殺鼠剤・・・作用機構として、1回もしくは数回の摂食で効果を示す「急性毒剤」と、数日間の連続摂取によって効果を示す「累積毒剤(クマリン系)」があります。
(3)ねずみを追い払う
ねずみが生息しにくい環境にして追い払います。ネズミが嫌がる香料を配合した忌避スプレーや忌避剤の処理、ねずみの通り道にトゲや針金の付いた忌避具の設置などがあります。
エサや巣を見つけた場合は取り除き、清掃を行ないます。
ねずみの駆除方法
ねずみの死骸や巣が放置されると、寄生していたダニ(イエダニ:吸血性)が移動して室内に侵入してくることがあります。ダニの被害が出た場合、ねずみの巣や死骸を探し、清掃後、ダニ駆除用の殺虫剤を散布します。
ねずみによる被害が激しい場合は、侵入・移動箇所が多いなどが考えられ、詳しい調査が必要となります。調査には専門的な知識が必要ですのでプロのねずみ駆除業者に防除を依頼することをおすすめします。