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メイガの生態・特徴
ガ類の中には、貯蔵食品や穀物から発生する種があります。特にノシメマダラメイガ、スジマダラメイガ、スジコナマダラメイガ、3種類のメイガは問題となる種です。
成虫は羽を広げても2cm程度の小さな蛾です。穀物、食品などを加害するのは全て幼虫のみで、成虫は餌を食べません。
■メイガによる被害
メイガが加害する食品は多岐にわたるため、被害も、精米所や製粉工場をはじめ、それらを扱う食品加工工場、飲食店、一般家庭など、あらゆるところで発生し問題となります。また、メイガ類の幼虫は、穿孔能力(かじる能力)が強く、包装容器やビニール素材なども食い破るため、異物混入などのトラブルも多い害虫です。
ノシメマダラメイガ -Plodia interpunctella-
ノシメマダラメイガは、米、穀物、豆類、乾燥した果実、小麦粉、乾麺、ココア、鳥の餌などあらゆる乾燥食品を加害し、食品の最重要害虫となります。成虫は開張13~16mmで、翅は灰褐色と赤褐色の2色に見えます。世界各地に分布し、日本では北海道から九州に分布します。
幼虫は細長く、全長10mmくらいにまで成長します。メイガ類の幼虫は大量の糸を吐いて食品をつづり巣を作ります。そのため、メイガ類が発生している所には大量の吐き糸が付いていることがあります。
成虫の発生は、4~5月頃から見られ、10月頃まで続きます。成虫の寿命は1週間程度と短く、この間に200個程の卵を食品やその周辺に産み付けます。卵は白色で0.5mm程度と非常に小さく、卵で発見されることはほぼありません。
冬は幼虫で越年し、その幼虫が翌年の春に成虫へと羽化する。
スジマダラメイガ -Cadra cautella-
スジマダラメイガは、貯蔵穀物から菓子類まで各種食品を加害するが、別名「コナマダラメイガ」とも呼ばれるほど製粉工場に多い。成虫は開張16~20mm、全体的に灰色~灰暗色。主に熱帯から温帯にかけて広く分布し、日本では北海道から沖縄まで分布する。 幼虫は体長約12mm。幼虫は食物を糸でつづり合わせる。
カシノシマメイガ -Pyralis farinalis-
菓子によく発生する縞(しま)のあるメイガという事でこの名がついた。成虫は開張20~28mm、赤褐色で、中央に白い線で縁取られた黄褐色紋がある。
成虫は静止するときは、尻を持ち上げた体勢をとる。幼虫は体長約23mm。菓子類のほか、穀粉、粉類などを食害する。カシノシマメイガは、食品にゆるく綴り合わせた管状の巣を作り、その中には入って食害する。冬は幼虫で越冬を行ない、年に2~3回発生する。
メイガの駆除と対策
メイガ対策
ノシメマダラメイガなどメイガ類は食品に発生しますが、食品には薬剤散布できないため、発生源を取り除くこと(被害にあっている食品を処分すること)が駆除の基本となります。既に発生が見られる食品は破棄し、床や棚になどにこぼれた食品クズも丁寧に掃除することが、有効な防除法となります。
メイガの発生予防
防除・予防策としては、やはり多くの害虫と同様、整理・整頓・清掃が防除の基本となります。
食品類は長期保存せずに消費回転を早くすることが害虫の発生防止につながります。(害虫が発生するケースは、長期間保存または放置された食品である場合が多いため。)長期間保存するようなものは、密閉容器などに入れて保管してください。そうすることで、たとえ発生したとしても駆除は容易で、被害の拡大も防ぐことができます。
ノシメマダラメイガなどメイガ類には、性フェロモンを用いた捕獲トラップ(フェロモントラップ)があります。フェロモントラップ(性フェロモン)は、雄成虫のみを誘引し捕獲します。フェロモントラップを設置することによって、メイガ類の発生を早期に発見し、問題が大きくなる前に対処することが可能です。
※フェロモントラップは、メイガ類の発生予察(早期発見)や発生場所を調査するために用いるもので、フェロモントラップで根絶や駆除することはできません。(雌成虫は捕獲されません。)
※フェロモントラップは一般に、穀物倉庫や原材料工場、食品工場などでモニタリング(調査用)に利用されます。一般のご家庭では、フェロモントラップを利用するより、保管している食品から発生場所を探し、破棄することが最も効果的です。
メイガの駆除
発生したメイガ類は、捕獲するして駆除するか、スプレー殺虫剤で駆除できます。メイガ類が屋内で大発生している場合は、くん煙殺虫剤で一度、部屋全体を殺虫処理し、室内のメイガ類を駆除します。
ただし、食品の中でわいている幼虫や成虫には効果がありませんので、くん煙処理後は発生箇所を見つけ、被害食品を破棄し清掃することが必要です。
※メイガ類は、発生源の特定や効果的な処置が難しい害虫ですので、発生場所が分からない場合は、害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。