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チョウバエの生態・種類
チョウバエ類は蚊に近いグループに属するハエ目の一種です。体長1~4mmほどのハート型を逆にしたような形をしています。
室内に侵入すると、洗面台や流し台の水回りの部分にあるガラス窓や壁にとまる習性があります。
体は灰黒色で、体表には毛が密生しています。チョウバエの中で最も普通に見られる種がホシチョウバエとオオチョウバエになります。
■チョウバエによる被害
チョウバエは集合住宅や飲食店、ビルの浄化槽、鶏舎、トイレの貯水槽などから発生し、不快害虫として問題になります。
台所や風呂場でよく見かけますが、居間にも進入することもあり、細菌の運搬者になる可能性があります。また、幼虫が人の泌尿生殖器、消化器、眼瞼などに迷入してハエ症を引き起こすことが知られています。
ホシチョウバエ -Psychoda alternata-
小型のチョウバエ。成虫の体長は1.3-2mm、体色は灰色で、翅は大きく周辺部に5~6個の黒斑がある。
幼虫は体長8mmほどで、灰色がかった白色をしている。世界各地に生息します。
発生時期は4~12月にかけてですが、暖かい工場(特に食品工場)や飲食店などでは冬でも活動が見られます。卵は2日ほどで孵化し、幼虫期間9-15日を経て蛹になり、2日後には羽化します。
オオチョウバエ -Telmatoscopus albipunctatus-
成虫の体長は4-5mm程で、ホシチョウバエに比べるとかなり大きい。体色は灰色で、翅の脈の末端には8個の白点があります。幼虫は体長8-9mmで、全体に褐色となります。世界各地に生息します。
5~10月にかけて発生し、生活史はホシチョウバエに似ます。
卵は2日ほどで孵化し、幼虫期間約10日を経て蛹になり、3~4日で成虫が羽化します。トイレなどの壁面に止まってるのをよく見かけます。
チョウバエの駆除と対策
チョウバエ駆除について
チョウバエは浄化槽や排水施設の汚泥(水気と汚れ)が発生源となるため、屋内で発生しやすい害虫です。
対策としては、トイレやお風呂の排水口、洗面台、浴槽の底、浄化槽など発生場所を探し、幼虫対策を行なうことが重要となります。
また、室内を飛んでいるチョウバエ成虫は今後さらに繁殖を繰り返すので、成虫対策も必要です。
幼虫対策
(1)幼虫の発生原因を取り除く
チョウバエの幼虫は、側溝の壁面や溝のフタ裏、三角コーナーの裏側、排水溝のヌメリ、浴槽の底などに付着した汚泥(スカム)に生息ていることが多いため、幼虫対策には、汚泥(汚れ)を取り除き、清掃を行なうことが最も重要です。
(2)幼虫を殺虫駆除する
薬剤による駆除を行なう場合は、コバエの幼虫駆除剤(昆虫成長制御剤:IGR剤)がチョウバエの幼虫に有効です。
コバエ幼虫駆除剤は、チョウバエの幼虫が体内に取り込むことによって、効果が現れます。つまり、幼虫に薬が十分に届かないと効果は出ません。
そのため、まずは、チョウバエ幼虫が生息している場所をある程度、特定することが必要となります。
幼虫の生息場所がはっきり分からないと、薬剤を散布しても効果が出にくいことがあります。
※配管の奥や厨房機器の足元(奥)など薬剤が散布しにくい所へは、泡状(ムース状)の薬剤が施工しやすいでしょう。
成虫対策
(1)成虫の侵入防止
チョウバエの成虫に対しては、まず侵入を防ぐことが大切です。
窓やドアを開けっ放しにしないことや、浄化槽では定期的に点検し、マンホールの隙間をなくして、排気管に網を張るなどしてチョウバエの侵入を防ぎます。
(2)成虫の殺虫
マンホールや浄化槽などチョウバエが発生している密閉空間には、蒸散タイプの殺虫プレートを吊り下げておくと成虫対策につながります。
(マンホール・浄化槽内で発生したチョウバエ(成虫)や、マンホール・浄化槽内へ入ってくるチョウバエを退治します。)
※蒸散タイプの殺虫プレートは、常温で殺虫成分を放出するものです。
そのため、使用場所はマンホール内などの密閉空間で使用し、人が活動する室内空間には吊り下げないでください。
※チョウバエの発生量が著しい場合、殺虫プレートのみで駆除を行なって十分な効果が出ないことがあります。発生量が多い場合は、「幼虫対策」も一緒に行う必要があります。
(3)捕獲して駆除
チョウバエはハエ捕りリボンや粘着シートでも捕獲できます。チョウバエ成虫は比較的、足元付近など下の方を飛んでいるので、設置する際は下方のジャマにならないような位置に設置しましょう。
また、光で誘引し捕獲するライトトラップでもチョウバエを捕獲することが可能です。
※チョウバエは飲食店、工場だけでなく一般家庭でもよく問題になる害虫です。
発生源の特定や効果的な処置が難しい害虫ですので、清掃してもチョウバエの発生が続くなど困った場合はプロの害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。