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ハエの種類・生態
ハエは、日本では約3000種が知られていますが、その中でもイエバエやクロバエ、ニクバエ類などが問題となります。
■ハエによる被害
ハエは糞やゴミ類にたかるため気持ち悪いほか、屋内に侵入し、食品に産卵したり幼虫が発生したりすることがあります。また、汚物に飛来するため、病原性微生物を機械的に運ぶ運搬者でもあります。
消化管内には細菌を保有し、過去に腸管出血性大腸菌O-157を保菌しているイエバエが確認され問題となった事もあります。
イエバエ -Musca domestica-
大型なハエの中では代表的な種。英名でもhouse flyと呼ばれるほどです。成虫は体長6~8mm、灰黒色。日本各地で普通に見られ、全世界に分布します。
成虫は特に初夏と秋に多く見られ、真夏は少ない。九州など暖かい地域では3月初旬から活動が見られます。
発生場所は基本的に野外であるが、成虫は家屋侵入性が強く、好んで屋内に入ってきます。
主な発生源は、鶏舎や牛舎、豚舎など動物糞、堆肥、ゴミ処理場、ゴミ置き場のゴミなどからよく発生します。このような場所から発生した成虫が、付近の人家や飲食店、事務所などに侵入し、不快害虫として問題となっています。
ヒメイエバエ -Fannia canicularis-
イエバエと同様に家屋侵入性の強い種で、イエバエよりは小形でほっそりしています。成虫は体長5~7mmで、体色は黒褐色です。日本各地に普通に生息し、全世界に分布。
成虫が出てくる時期は早く、早春から活動しはじめ、初夏に発生のピークを迎えます。盛夏は数が減少し、その後晩秋まで見られます。
主な発生場所は鶏舎である。その他、動物の死体や台所のゴミなどからも発生する。
センチニクバエ -Boettcherisca peregrina-
ニクバエ類の中で最も代表的な種。成虫は体長9~11mm、体は灰色で、胸背にはっきりした3本の黒い縦線がある。日本各地に分布する。
種名の「センチ」とは便所のことを指し、夏季になると汲み取り便所の便池に本種のウジがよく発生します。人家の付近に多く、ゴミ置き場などで見られます。
主な発生源は人や動物の糞の他、動物の死体、生ゴミなどです。
ニクバエ類の多くは卵胎生で、卵ではなく1齢幼虫(ウジ)を産みます。成虫は家屋侵入性が強い。
センチニクバエ -Boettcherisca peregrina-
本種はクロバエ科(Calliphoridae)クロバエ亜科に属するハエの中で代表的な種です。
成虫は体長10~12mmと大型で、体は丸みをおび青黒色をしています。日本全国に分布。
クロバエ類は比較的低温を好み、発生時期は本州で春と秋に、北海道では夏に、沖縄では2月~3月ごろに見られます。気温の高い時期には見られなくなります。
幼虫の発生場所は、動物の死体や糞、生ゴミなどです。
キンバエ類
キンバエ類は、クロバエ科に属する中型(6~10mm)のハエで、体色が金緑色など金属光沢を持っており、綺麗な色をしています。日本全国に分布。
成虫は3月頃から見られ、人畜の糞や動物の死体、ゴミなどによく集まり、幼虫の発生場所にもなります。
ハエ・コバエの駆除と対策
ハエ対策について
イエバエなどのハエ類(大型バエ)は建物内に侵入する性質が強く、トイレや厨房など屋内に入ってきて問題となります。しかし、どこかで発生して飛んでくるハエに対しては、発生源対策(幼虫駆除)ができないため、ハエ対策は建物への侵入の防止や、ハエを捕獲・殺虫するなどの方法となります。
敷地内でハエがわいている場合は、清掃や殺虫剤の散布などをし、幼虫を駆除します。
外からハエが入ってくる
ハエの成虫を侵入させないために、窓やドアは開けっ放しにせず、また、窓や隙間には網戸(ネット)を取り付けるなどして、ハエの侵入を物理的に阻止します。
(2)ハエを捕獲して駆除
野外で使用する捕獲器を用い、飛んでくるハエを屋外で捕獲します。捕獲器だけで完全に駆除することは困難ですが、個体数を減らします。
(3)殺虫剤の使用
壁面などハエが止まる場所に殺虫剤を散布し、そこに静止したハエを駆除します。
ハエ駆除用の殺虫剤は害虫駆除業者に処理してもらえます。(ハエ駆除用殺虫剤(医薬品)は、一般の方は取り扱うことができません。)
室内にハエが飛んでいる
屋内でハエが発生している場合、ハエの発生箇所(生ゴミや腐敗物など)を探し、清掃およびゴミは捨ててください。
(2)捕獲・殺虫駆除
飛んでいるハエを見つけた場合は、ハエ叩きやスプレー式殺虫剤を噴霧し駆除します。キッチンや厨房、漬物桶など殺虫剤が使いにくい場所ではハエ取りリボンや粘着シートを吊り下げると捕獲できます。
頻繁にハエが飛んでいるけど、“ハエが発生しそうなゴミはない”や、“近くに畜舎・ゴミ処理施設などはない”等、原因が分からない場合は、害虫駆除業者に調査を依頼、相談することをおすすめします。