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蚊の生態・種類
蚊のほとんどの種が吸血性で、マラリア、フィラリア、黄熱、デング熱、脳炎などの危険な感染症の媒介者でもあります。 しかし、蚊はただ生きるだけなら吸血を必要とせず、砂糖水だけで生き続けることができます。
雌成虫は、羽化してから休止→吸血→休止→産卵→再吸血といった活動リズムを持ちます。
吸血活動は夜間活動性と昼間活動性の2つに大きく分けられ、イエカ属・ヌマカ属・ハマダラカ属は主に夜間吸血性で、ヤブカ属は主に昼間吸血性と属によって異なります。
アカイエカ -Culex pipiens pallens-
最も普通な種類の蚊です。成虫の体長は約5.5mm。日本のイエカ属の代表的な種類で、褐色(茶色)の蚊で、寝ている時に蚊で起こされる時は、多くの場合がこの蚊です。
日本では、北海道から九州まで分布していますが、琉球、奄美、小笠原などでは近縁のネッタイイエカが分布。
発生場所は、どぶや汚水だめ、下水溝、汚れた雨水ます、用水桶などやや汚いところに発生が多い。越冬は成虫で行い、寿命も約6ヶ月と非常に長い蚊です。
本種は人からもよく吸血しますが、鳥類、特に鶏を選好する傾向にあります。また、フィラリア症を媒介する種になり、犬のフィラリアをうつすため注意が必要です。
チカイエカ -Culex pipiens molestus-
成虫の体長は約5mmで、形態的にアカイエカに非常に似ていて、肉眼では区別できません。日本、ヨーロッパ、中近東、北アメリカに分布。
本種は、1度目の産卵を無吸血で行なうことができ、血を吸わなくても増えることができる特徴があります。
本種は、ビルの地下の水溜りや水洗便所の浄化槽、地下鉄の線路際の溝などに発生することが多い。
低温に強く、秋になっても休眠せず初冬でも活動します。冬になっても蚊に刺されるというのは本種が原因です。
ヒトスジシマカ -Aedes albopictus-
ヤブカ属の中では最も代表的な種。
成虫の体長は約4.5mmで黒色に白色のシマ模様をもちます。
日本では関東以西に普通に分布。幼虫の生息場所は、花立、用水桶、竹やぶの切り口、空き瓶、空き缶などと様々な所にいます。
卵は乾燥に強く、湿った落ち葉やコケなどに分散して産み付けられます。通常、卵で越冬しますが、南九州では一部幼虫越冬も行なう。本種は、デング熱ウイルスの媒介者として有名です。
蚊の駆除と対策
蚊駆除について
蚊は幼虫と成虫とで生活場所が異なるので、それぞれの対策が必要です。
蚊駆除について
(1)発生源の除去
蚊の発生予防は、幼虫(ボウフラ)の生息する水場をなくすことが重要です。
・ヤブカ類は植木鉢や空き缶、竹の切り株などのちょっとした水溜りでも十分発生が可能なので、水が溜まるようなものは廃棄し、発生源の除去や環境改善が大切です。
・アカイエカの発生源となる下水溝やどぶ川は清掃し、雑草が生えていれば除去して水の流れをよくするようにします。
(2)薬剤で駆除
発生原因の除去が不可能な場所においては、薬剤を散布して対応します。薬剤は、安全性の高い幼虫駆除剤(IGR)が効果的でおすすめです。
(3)その他薬剤以外
薬剤以外では、メダカやカダヤシなどの小型魚類を放すことも効果があり環境にも優しい。幼虫の駆除は成虫の駆除よりも重要です。
蚊駆除について
(1)物理的に防除
蚊の成虫予防法としては、網戸やエアーカーテン、蚊帳などにより成虫の侵入を阻止する方法があります。
(2)薬剤で防除
-(A)空間噴霧
駆除方法としては、市販でもよく販売されている蚊取り線香や蚊取りマット、蚊用エアゾールが一般的です。オフィスなど広いエリアには、業務用の蚊駆除器が有効です。
-(B)残留噴霧
蚊は壁や草など植物に止まって休息する習性があります。蚊が多いところでは、蚊がよく止まる壁や天井等に液剤を散布すると有効です。
(3)その他の防除法
その他、二酸化炭素などの蚊の誘引物質により蚊を誘引し捕まえる蚊捕獲機、光で誘引して殺す電撃殺虫機などもあります。
(※日中に活動するヒトスジシマカは、誘虫ランプの光に誘引されないため、効果はありません。)