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日本で問題となる主なシロアリの種類
シロアリは、自然界では枯れた木や落ち葉を食べるため、森の土壌を栄養豊富な土に変えるという益虫しての役割も大きく、豊かな自然を守るためにも地球にとっては必要な存在です。
■主なシロアリの種類
日本で家屋に被害を与えるシロアリの中で、被害事例が多く、問題になることが多いシロアリは3種類、「ヤマトシロアリ」・「イエシロアリ」・「アメリカカンザイシロアリ」です。
ヤマトシロアリとイエシロアリが土壌性(地下で生活する)に対して、アメリカカンザイシロアリは非土壌性で、乾材などの中で生活します。
ヤマトシロアリ -Reticulitermes speratus-
●分布
公園などにある木製の杭や林道などでも見られる最も一般的なシロアリです。北は北海道名寄市を北限とし南は沖縄までと全国的に分布しています。
羽アリの群飛はほとんどの場合、4~5月頃の暖かい正午頃に見られます。羽アリはシロアリという名前に似合わず、黒色で胸に黄白色のラインが1本入ります。そのため、いわゆる“黒アリ”の羽アリと間違えられることがよくあります。
●特徴
ヤマトシロアリのコロニーは数千~数十万頭で形成されており、特別に加工されたような巣は作りません。
ヤマトシロアリによる家屋被害はそれほど大きなものにはなりませんが、臆病で逃げやすく分散しやすい性格であること、分散した数匹からでもコロニーを再形成できることから防除業者を悩ませることもあります。
見た目は、イエシロアリと非常によく似ていますが、兵蟻の頭部の形が円筒形であることから区別できます(上写真)。
イエシロアリ -Coptotermes formosanus-
●分布
シロアリの中でも最も加害の激しい種類で、建造物や生立木に大きな被害を与えます。
日本の野外では、静岡県以南・以西の沿岸部や島、および本州内陸部の一部、四国、九州に分布していますが、近年では東京23区内や茨城県などでも飛び地的に被害の報告があります。
●特徴
羽アリは橙黄色の体、翅は淡黄色の透明です。群飛は6~7月の暖かく湿度の高い夕刻に見られます。
イエシロアリの場合、本巣や分巣と呼ばれる巣を形成し、1つのコロニーが大きく、(成熟したコロニーであれば)その個体数は100万頭以上と考えられています。
活動範囲も広く、大きな集団の場合、巣から100m以上とも言われています。
イエシロアリの性格は凶暴で、兵蟻に触ると人間であっても積極的に噛み付いてきます。本種による家屋被害はそのままにしておくと甚大なものとなり、家屋の倒壊にもつながります。
アメリカカンザイシロアリ -Incisitermes minor-
●分布
その名が示す通り1970年代中頃、北米から家具材などと共に侵入し、その後、徐々に勢力を拡大、現在では東京・兵庫・神奈川・和歌山・広島・大阪・山口・鹿児島・千葉・埼玉・富山・沖縄・京都・宮崎・愛媛・高知など約半数の都府県で生息が確認されています。
今後分布域がさらに拡大する恐れがあります。
●特徴
アメリカカンザイシロアリはヤマトシロアリやイエシロアリのような“地下シロアリ”とは異なり、一生を柱など「乾材」の中で過ごします。
本種が生息している材の表面には直径2mmほどの穴があり、そこから乾燥した砂粒状の糞を排出するのが特徴です(写真)。コロニーの規模は小さく、その多くが数十~数百頭で形成されています。
羽アリの群飛は7~9月の昼間に行われることが多いようですが、2月などでも羽アリの目撃情報があることから長期間にわたり少しずつ群飛している可能性も考えられます。羽アリの体色は赤褐色です。
本種は乾材であればどこにでもコロニーを形成すること、コロニーの再生能力が高いこと、材中に生息していることから発見が困難であることなどから非常に防除の難しいシロアリとして防除業者を悩ませています。
羽アリが出た時の対処法
ヤマトシロアリであればゴールデンウィークの前後あたり、イエシロアリであれば6~7月ごろに羽アリが一斉に飛び出します。
羽アリは玄関や風呂場などから飛び出すことが多く、数は多いときで数万匹にも達します。
羽アリが出た時の対処法
羽アリは様々な個所から飛び出すのではなく、羽アリの時期にのみ作られる「群飛孔」と呼ばれる穴から飛び出します。
そのため、羽アリが出てきているホットスポットを中心に一気に吸い取って駆除してしまいましょう。吸い取った後はゴミ袋に詰めてゴミ箱へ。
※羽アリの多くは吸い込まれた際の衝撃で死んでしまいます。もし生きていたとしても、水分を取ることができず、24時間以内には死んでしまいます。
エアゾール殺虫剤で噴霧すると、殺虫剤の油でベトベトになった羽アリの死骸や翅を掃除するのは一苦労なので、掃除機による吸引がおすすめです。
(2)夜に羽アリが出た時の対処法
イエシロアリは夕刻に羽アリが飛び出します。(ヤマトシロアリは日中に飛び出すことが多い。)
羽アリは翅の付いている状態の時は、光に向かって飛ぶ性質(正の走光性)があるため、室内の蛍光灯など灯りに群がります。そのため、室内で飛び出した場合は、いったん照明を切り、窓を開けて外側になるべく光量の大きな懐中電灯などの光源を用意します。そうすることで室内に飛び回っている羽アリを外へ誘引することができます。
あとは室内に残った羽アリは掃除機で吸い取ってしまいましょう。
羽アリが出なくなったら・・・
羽アリが飛び出す期間は数日だけです。そのため、「羽アリが出なくなった」から「シロアリがいなくなった」と勘違いしてしまうことがあります。
しかし、実際には見えない部分で大量の働きアリ(シロアリ)達が加害し続けています。
羽アリの時期は、唯一シロアリ自らが私たちの目の前に姿を現す機会(=シロアリ被害に気付くことができる機会)でもあるので、早急に駆除対策が求められます。
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(プロの業者にお願いすると、保証が付いてくることもあります。)
シロアリ駆除と対策
シロアリ対策について
シロアリ駆除は、基本的には薬剤(殺虫剤)を用いて駆除します。
シロアリは殺虫剤を吹き付ければ容易に致死しますが、集団で生息しているため、見えていないところにも数多くのシロアリが生息しております。そのため、専門の知識がないと、完全に駆除するのが難しい場合があります。
※シロアリ駆除作業は室内だけでなく、床下での作業も必要になることがあります。
床下は釘が出ていたり、石が転がっていたり、ムカデなど昆虫類と出会うこともあります。そのため、服装や保護具(薬剤を使用する場合は、適したマスク等の保護具)を着用してください。
また、シロアリ薬剤を取り扱う際には、よくラベルを読みご使用ください。
殺虫剤による駆除
もっとも簡易に作業ができます。
ただし、エアゾールは容量が少ないため、広範囲への駆除作業や予防処理には向いていません。部分的な駆除に適しています。
(2)液剤
液剤には、原液で使用するもの、水で希釈して使用するものがあります。散布できる量が多いため、「駆除」だけでなく「予防処理」にも向いています。
散布するには噴霧器が必要です。
※市販されている液剤はピレスロイド系のものが多く、この成分に対してシロアリや多くの虫は忌避して(嫌がって逃げて)しまいます。
散布した際にシロアリが駆除されず逃げてしまうことがあるので、液剤はシロアリが生息する所に的確に散布するなど技術が必要です。
(3)粒剤
粒剤は駆除ではなく「予防用」として使用します。
液剤に比べると臭いの問題は解消されますが、散布作業は手間がかかります。
(4)ベイト剤(設置型タイプ)
シロアリ駆除用の置き型ベイト剤は、シロアリにを食べさせ、巣ごと駆除する毒餌剤です。ゴキブリ退治で使われる“ホウ酸団子”のシロアリ版のようなものです。
駆除だけでなく、予防用としても使えます。
★ベイト剤は一般の方でも使用できる簡易なものが販売されています。
食べさせなければ効果は得られないため、シロアリの活動している適切な場所に設置する必要がありますが、自分でシロアリ駆除するのであれば、シロアリ用ベイト剤の使用がおすすめです。(成分の安全性が高く、また作業も簡易です。)
シロアリ駆除(薬剤散布)をする上での注意点
(1)シロアリは空気の流れを嫌い、蟻道や隙間を「蟻土」で塞ぎながら移動。
まずこのことを理解し、シロアリが生息している証拠(蟻道や被害など)を見つけ出してください。
そこからどの程度シロアリの被害が進行しているか把握し、必要な箇所のみ薬剤を処理していきます。
(2)シロアリは人目に触れない場所を移動・食害し被害を拡大。
そのため、駆除作業というのは建物の構造、被害状況・生息密度などを考慮し、生態にあった駆除を実施しなければならないため、非常に難しい作業です。
自分で駆除を行うとコストは安く済みますが、完全駆除ができない可能性があることも念頭において実施してください。
(3)最終的には侵入したシロアリをすべて駆除(根絶)することが必要
ヤマトシロアリのように駆除を失敗するとコロニーが別れてしまうことのあるものや、イエシロアリのように巣が自分の敷地外にある場合もあるため、プロに任せることも重要な選択肢です。
下記のような状態であれば、自分で行うことは諦め、すぐプロに任せることをおすすめします。
プロに相談するべき状況について
下記のような状況であれば、シロアリ駆除業者に相談されることをおすすめします。
- 駆除対象となるシロアリが、「イエシロアリ」である
- これまでに何度か駆除に失敗したが、繰り返し発生している
- いたるところでシロアリの被害が生じている
プロに駆除を任せた方が安心な理由
シロアリ駆除をプロに任せるか、自分でできるのか?ですが、結論から言うとプロに任せたほうが安心です。その理由はいくつかあります。
シロアリは数万匹以上の集団で活動しているため、駆除するには、その集団の根絶が求められます。被害個所にシロアリが見えた場合、それは集団の極一部です。
被害箇所に殺虫剤を処理すれば、そこにいる集団は死にます。そのため、駆除できたように見えますが、シロアリ(集団)の大半は見えない部分で活動しているため、完全に駆除できていないことがあります。
また、市販の殺虫剤の中には、成分に「忌避作用」がある殺虫剤もあります。
処理すると、その場所からいなくなり駆除できたように見えますが、実際には寄り付かなくなっただけで他の個所を加害し続けています。
こういった忌避成分による部分的な処理は、集団で活動していたシロアリをバラバラにしてしまう可能性があり、完全駆除をより難しくしてしまいますので注意が必要です。
(2)根絶には専門知識が必須
シロアリを確実に根絶させるには、シロアリの生態や行動に関する知識、使用する薬剤の知識、多数の専用道具・保護具が必要になります。
(3)危険を伴う作業
作業の多くは床下や天井裏という過酷な環境下で、かつ、ほふく前進や足場の不安定な状態で行うことになり危険も伴います。
※シロアリの駆除・作業は容易ではないため、シロアリに詳しい専門家や害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。
専門家に床下の検査だけしてもらうには?
床下の状況を確認したいけど、どこを見ればわからない場合、また、自分で駆除したいけど、床下の調査(検査)だけはプロに任せたいという方は、「床下点検」だけを依頼されることをおすすめします。
(1)家のシロアリ被害・床下検査を調べてもらいたい方は、こちらの(点検のみの依頼)がおすすめです。
(2)まずは、専門家に相談してみたいという方は、お近くのシロアリ業者にご連絡ください。