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アリの種類と生態
アリ類は日本では260種ほどが知られています。アリ類は社会性昆虫であり、雄、兵蟻、職アリ(雌)、女王の階級分化がみられ、コロニーと呼ばれる繁殖集団を形成します。
- ■アリ類による被害
- アリは、咬むアリや毒針で刺すアリなど危害を与える種がいます。
その他、アリは6月下旬から9月にかけて羽を持った雄雌(羽アリ)が結婚飛行を行なうため、大量の羽アリが照明などに飛んできます。また、働きアリは餌を求めて屋内に侵入することがあるため、食品類に群がり不快害虫として問題となります。
電気設備の中や隙間に侵入し故障させるといったこともあります。
イエヒメアリ -Monomorium pharaonis-
- ●イエヒメアリ
- 家屋害虫として最も有名なアリです。働きアリは体長2~2.5 mmの小型種で、体色は黄色から赤褐色をしています。
暖かいところを好み、熱帯では一年中 野外での生息がみられますが、温帯以北では、冬季には暖かい保温性の高いマンションなど鉄筋コンクリート造の建物によく発生します。
特に、壁紙やタンスの裏などのちょっとした隙間に営巣し、次々と分巣し、繁殖力が大きいアリです。巣を発見するのは容易ではありません。 - ●ヒメアリ ‐Monomorium intrudens ‐
- ヒメアリの姿や(名前も少し)イエヒメアリに似ていますが、種類は異なります。
主に枯れ草や朽木の中、家の周辺、羽目板などに営巣し生息します。餌を求めて、わずかな隙間から屋内に侵入して、食品(砂糖や菓子類・乾肉など)に集まることがあります。人を咬むことあります。
トビイロケアリ – Lasuys niger-
働きアリの体長3.5mm前後の中型のアリです。体色は黒褐色で、いわゆる「クロアリ」に見えます。日本全国に分布します。アブラムシが出す甘い汁(甘露)を好むため、アブラムシがが発生している植物の上で徘徊しているのが見られます。巣は土中や朽木、植木鉢の下などに作ります。また、腐朽した木材に営巣することがあるので、時に風呂場や台所などに生息することがあります。
アルゼンチンアリ -Linepithema humile-
その名の通り南米原産のアリですが、人間の移動に付帯して分布を拡大しています。
働きアリは体長2.5mm、体色は黒褐色(コーヒー色)をしています。日本では広島や兵庫県、山口県、愛知県、岐阜県、大阪府など各地で生息が確認されています。
アルゼンチンアリは、女王が巣外へ結婚飛行を行わないため、1つのコロニーに多数の女王が存在します。そのため、繁殖率は相当なものと推測できます。
また、本種は農業害虫であると共に、在来のアリや他の生き物(昆虫等)を駆逐してしまうといった生態系の撹乱も引き起こす恐れのあるアリです。
アリの駆除と対策
アリ対策について
アリ類も他の多くの害虫と同様、家屋内にエサとなる食品(残渣)を残さず清掃することや放置しないことが、侵入を防ぐために重要です。
侵入口となる外壁や、営巣場所になりやすい木材の腐朽部分は補修したり、防腐剤を塗布して巣を作れないようにすることも予防策となります。
発生したアリの駆除
徘徊しているアリは働きアリで、目に付くアリをいくら駆除しても、次から次へと巣から新しいアリが出てきます。そのため、アリは巣ごと駆除することが重要になります。
- (1)殺虫剤(液剤)による駆除(屋外での対策)
- アリの巣を発見した場合は、巣の上から殺虫剤を散布していください。発見できない場合は、アリの行列や生息が見られるところに液剤(アリ用毒餌殺虫剤)をや粉剤散布してください。
- (2)毒餌・ジェル剤による駆除
- アリの巣の場所が分かっている場合は、巣の周辺(雨のかかりにくいよう)に毒餌またはアリ用ジェル剤を置いてください。巣が発見できていない場合・巣の近くに置けない場合は、働きアリの姿が見られる場所に毒餌を配置してください。
働きアリが毒餌を巣に持ち帰り、巣ごと駆除します。
- (ご注意)
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- ※毒餌やジェル剤に、市販のスプレー殺虫剤を吹き付けないでください。
アリが毒餌を食べなくなるので注意してください。 - ※室内を徘徊しているアリを駆除したい場合は、殺虫スプレーで直接噴霧し駆除してください。薬を使わない場合は、ティッシュで潰して捨てるか、ガムテープなどで捕まえて駆除してください。
- ※毒餌やジェル剤に、市販のスプレー殺虫剤を吹き付けないでください。
羽アリ対策・駆除
羽アリは春から秋にかけて見られます。結婚飛行の時期はアリの種類によってさまざまです。
新しく女王となる雌アリは巣作りに入りますが、それ以外の羽アリは、飛来・落下した後、間もなく死亡します。羽アリはすぐに死亡し危害などは与えませんが、飛来数が大量のため不快害虫として問題になります。
- (1)羽アリ侵入防止
- 窓やドアはできるだけ開放せず、窓には網戸(なるべくメッシュの細かいもの)を取り付けましょう。羽アリが室内に入ってこないよう物理的に防除します。
- (2)羽アリの殺虫
- 室内の灯りが見える窓には、羽アリが多数飛んでくる事があります。窓には窓用の殺虫剤を処理し、羽アリを駆除します。