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ゴキブリの種類と生態
ゴキブリは世界に約4000種が生息。日本では外来種を含め約60種が知られていますが、そのほとんどが野外性の種で、衛生害虫としてのゴキブリは10種以下です。
ゴキブリは雑食性でありながらもグルメで、同じものばかりを食べていると食い飽きが生じ、違うものを選択的に好むようになります。
■ゴキブリによる被害
ゴキブリは直感的な不快感を与える他、悪臭・病原体の運搬・食害・汚染・アレルギーの原因などが挙げられます。
クロゴキブリ -Periplaneta fuliginosa-
一般住宅に生息する代表的なゴキブリ。活動期は5~10月で1cm程の隙間を好んで入り込みます。成虫の体長は30~40mm、黒光りした大型種で九州から北海道まで分布しています。寒さに比較的強く、暖房がなくても冬を越すことが可能で、2齢・終齢幼虫または卵で越冬します。
雌成虫は、一生の間に約20個の卵鞘を産み、卵鞘1つあたり20~28匹の幼虫が生まれてきます。
若齢幼虫期は特徴的で、黒い体色に2本の白い横縞がみられる。卵から成虫に至るまで2~3年かかり、成虫の寿命は約200日と非常に長い。
ヤマトゴキブリ -Periplaneta japonica-
世界的に最も北限に生息するゴキブリです。外観はクロゴキブリに似ていますが、やや小型で成虫の体長は、25~35mm、細身で全体的に黒褐色。前胸背板に凹凸があり、翅脈の彫が深く、体表の光沢がないことでクロゴキブリと区別できます。
1卵鞘あたり生まれてくる幼虫は20匹以下と非常に少ないが、一生の間に20個以上の卵鞘を産みます。日本土着種で、分布は南限が岡山・山口県あたり、北限は青森県である。種は短日で休眠に入るため、寒い冬に耐えることができる。
ワモンゴキブリ -Periplaneta japonica-
日本における屋内性ゴキブリの中で最も大型な種です。日本における分布は、もともと南九州から種子島、奄美大島、沖縄方面でした。低温に弱く、20℃以下になると増殖はおろか摂食行動すらしなくなります。
しかし、近年都市化が進み、ビルなどでは暖房や空調設備などが完備しているため、本州などの大都市でも生息が見られます。下水道のマンホールなどにも生息しています。
成虫の体長は30mm~45mm。世界中に分布している害虫である。体は褐色で光沢があり、前胸背板に黄白色の輪のような斑紋(輪紋)があるのが特徴的。
チャバネゴキブリ -Blattella germanica-
レストランや居酒屋などの飲食店に生息する代表的なゴキブリです。
寒さに弱く(20℃以下では繁殖できない)、日本各地の暖房されたビルや飲食店などでは1年中生息が見られ、繁殖をくり返しています。特に5mm程度の隙間を好み集合します。
成虫の体長は10~15mm程の小型種で、黄褐色で背中に2本の黒いスジのあります。都市部を中心に分布。雌成虫は一生の間に3~4個の卵鞘を産み、1卵鞘あたり40~48匹の幼虫が生まれます。卵鞘は他のゴキブリと違い、孵化するまでの約20日間、雌が腹端に保持し、卵鞘を持ったメスはコロニーからあまり出ません。卵から成虫に至るまでわずか2ヶ月ほどのため、繁殖率が非常に高いゴキブリです。
害虫としてのゴキブリの中では最重要種であり、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
ゴキブリの駆除と対策
ゴキブリ防除について
ゴキブリ防除の方法は、 (1)清潔・整頓、(2)殺虫剤による駆除、(3)トラップの利用の3つに大きく分けられます。
ゴキブリ駆除で最も重要なことは、整理・整頓をしっかり行ない清潔に保つことです。
食べ物や生ゴミはゴキブリの餌になるため、食品は侵入されないように管理し、食品クズや生ゴミ、残飯はこまめに始末することが重要です。
また、ゴキブリは水を好む性質があり、ゴキブリにとっては、餌よりも水が大変重要であり、水の無いところでは生きていくことができません。(そのため厨房、キッチン、風呂場、トイレ、水周りなどでよく見かける。)
よって、キッチン周りや洗った食器などは布巾で水気を拭き取り、乾燥した状態に保つことがゴキブリの繁殖予防には重要となります。
・毒餌剤(ベイト剤)による駆除
毒餌剤(ベイト剤)はゴキブリが好む餌に、ゴキブリの殺虫成分を混ぜたものです。
ゴキブリの生息が見られる箇所に容器入りの毒餌やホウ酸ダンゴを置いておくと、夜間に餌を食べに出てきたゴキブリが毒餌を食べ、やがて駆除します。
毒餌による駆除は、薬剤の飛び散りが無いなど安全であることや、効果の持続性も長いため、ゴキブリ駆除の主流な方法です。
【ゴキブリ毒餌剤(ベイト剤)は、こんな所に特におすすめ】
殺虫剤(液剤)散布の使用制限がある施設、病院、食品取扱い施設、機器室、コンピューター室、車両、飲食店、オフィスビルなど
【毒餌の設置ポイント】
- ゴキブリの生息や糞の付着が見られる所
- 厨房機器の隙間や温かい所
- 食器棚、引出しの奥
- トイレ・水道の周辺
など
・液剤による駆除
昔から行なわれている駆除方法で、ゴキブリの生息場所付近や通路にあらかじめ液体殺虫剤を散布する方法です。ゴキブリが殺虫剤処理面に接触すると中毒を起こし死亡します。
ゴキブリ用液体殺虫剤は専門の害虫駆除業者にも処理してもらえます。
・スプレー殺虫剤による駆除
スプレー(エアゾール式)の殺虫剤は、ゴキブリ、特にクロゴキブリが室内に出没した際、速効で駆除するのに便利です。直接、ゴキブリに噴霧して駆除します。
また、ゴキブリ用殺虫スプレーに配合されている成分は、主にピレスロイド系の殺虫剤です。ピレスロイド系殺虫剤の多くは、ゴキブリが嫌う成分(忌避性)でもあるため、ゴキブリが近付いてほしくない箇所(飲食店のカウンター、イスの周り、棚など)にあらかじめスプレーしておけば、ゴキブリを近付けにくくさせる効果があります。
※毒餌剤にはスプレーしないでください。
・くん煙剤による駆除
煙状にした薬剤をゴキブリの呼吸器官から吸い込ませて駆除する方法です。速効的な効果がありますが、残効性(持続効果)はありません。
広い場所でのゴキブリ駆除や即効にゴキブリの数を減らす場合に用いられていることが多いです。この駆除を行なう時は、金魚やペットは外に避難させ、食品や食器類などは養生する必要があります。
(3)ゴキブリ用のトラップの利用
粘着のり(とりもち)が付いたトラップ(ゴキブリ捕獲器)で、通りかかったゴキブリを捕獲するもの(ゴキブリホイホイ)です。
粘着トラップで大幅に個体数を減らすなど大きな駆除効果はありませんが、ゴキブリの生息密度の調査や、ゴキブリの生息場所・出没場所を確認するための調査用資材としては非常に便利なツールとなります。
※ゴキブリは飲食店、工場だけでなく一般家庭、アパートなどあらゆる場所で問題になる害虫です。完全駆除が難しい害虫ですので、清掃および毒餌の処理をしてもゴキブリの発生が著しい場合など困った時はプロの害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。