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コバエの種類と生態
ハエの中で体長が2mmや3mmなど微小なハエ類をコバエ(小バエ)と呼んでいます。(コバエという種類は存在しません。)
■コバエ類による被害
コバエ類は体が非常に小さいため、わずかな隙間からも侵入してきます。また、食品のニオイに誘引されやすい種類は、食品工場や飲食店、コンビニなどに飛来し、食品の周りを飛んだり、食品内へ潜り込むなど異物混入することもあります。
コバエ類は飛来してくるだけでなく、少量の餌からも発生することが可能なため、わずかな厨芥や腐敗物を放置しておくと、屋内で大発生して問題になることもあります。
ショウジョウバエ類
ショウジョウバエ科に属するハエで、欧米ではFruitFly(果実バエ)とよばれるように、腐敗した果物や樹液を好んで集まります。代表的な種としてキイロショウジョウバエとクロショウジョウバエなどが挙げられます。
キイロショウジョウバエは、体長約2mm、黄褐色で目は赤色。世界中に分布します。
雌成虫は羽化後3~4日目で産卵をはじめ、発酵した腐植物質や酒粕、ぬか味噌、生ゴミなどに産み付けます。卵から成虫まで約10日間(25℃の温度条件下)と非常に速く、一般家庭でも生ゴミを放置しておくと、すぐにどこからか集まってきて産卵し、あっという間に発生することあります。
成虫は室内の明かりにもよく誘引される。
ノミバエ類
ノミバエは体長2~3mm程度のコバエで、体色は黄褐色や黒っぽい色をしています。
腐敗物や食品に誘引されて隙間から室内に侵入してくることが多いコバエです。
体が小さく、動きはすばしっこく、羽を使って飛びますが、食卓の上や壁面などを素早く走りまわる行動がよく見られます。
幼虫は主に腐敗した動植物質から発生し、ショウジョウバエと同様、室内で発生しやすいコバエです。その他、動物の排泄物や昆虫の死骸などから発生する種もあります。
クロバネキノコバエ類
体長は約2~4mmで、体色は黒~黒褐色をしている。体が小さいことと、建物周辺の緑地から発生し、室内の灯りにも誘引されやすいので、建物内へ侵入してくることも多い。
種類によってはジャガイモやキュウリなど作物の根部を加害します。また、観葉植物など植木鉢が置いてあると、クロバネキノコバエが室内で発生することがあります。
コバエの駆除と対策
コバエ対策について
コバエは屋外から入ってきている場合と、屋内で発生している場合とで対策が異なります。
外からコバエが入ってくる
窓やドアはできるだけ開放せず、窓には網戸(なるべくメッシュの細かいもの)を取り付けましょう。
建物の出入口付近や前室、廊下などに薬剤を蒸散する殺虫器を取り付けると、飛んで入ってくるコバエを駆除するので、コバエ侵入の防止対策になります。
(2)コバエを誘引防止
コバエ類は食品のニオイや、建物の灯り、熱などに引き寄せられて飛んできます。
【ニオイ対策】
製品のニオイ自体に飛んできている場合、対策は非常に困難です。 (1)の侵入防止対策など物理的に防除してください。
【灯り・照明対策】
店舗の照明に大量の虫が飛んできている場合、室内の蛍光灯など照明は、虫が好む波長の光(紫外線)をカットした蛍光灯(防虫用蛍光灯)に変更したり、紫外線を遮断するもの(紫外線カット資材)を取り付けます。
もしくは、窓に紫外線を遮断するフィルム(窓用防虫フィルム)を貼れば、室内の灯り(虫が好む波長の光)が外へもれず、コバエが集まってくるのを抑制します。
※ただし、窓用の防虫フィルムは施工が容易ではない(うまく貼れないことがある)ので、照明による対策の方が便利です。
【屋外の外灯】
外灯が、コバエの多数飛来で困っている場合は、外灯も紫外線を放出しないランプ(防虫ランプ)に取替えると有効です。
(3)殺虫剤による駆除
コバエが窓に止まって困っている場合、窓用の殺虫剤を散布すると、窓に止まるコバエを駆除します。
屋内のコバエ対策 ・ 室内でコバエが発生
屋内にいるコバエはエアゾール式殺虫剤で殺虫できます。
台所の三角コーナー周辺や漬物容器など食品を置いている所など殺虫剤が使いにくい場所では、ハエ取りリボンを吊り下げておくとコバエを捕獲します。また、捕虫器を設置すると中に入ってきたコバエを捕獲することが可能です。
コバエ類の種類がショウジョウバエの場合、ショウジョウバエ用捕獲器も有効です。
(2)発生源対策
ショウジョウバエ幼虫屋内でコバエが発生している場合は、発生源対策が最も重要となります。
まず、コバエ(幼虫)が発生している所や、腐敗物などを探します。発生原因が廃棄できるものは捨てます。浄化槽内や側溝内などの場合は、清掃をして発生源となる腐敗物を取り除きます。
薬剤で駆除する場合、安全性の高いコバエ幼虫駆除剤(IGR)を散布して殺虫します。
※配管奥や隙間など薬剤処理が難しいところには、泡状の薬剤が効果的です。
★なお、室内で飛んでいるコバエ成虫は交尾・産卵し、新たに幼虫が出てきます。そのため発生源対策する場合、同時に、成虫対策も重要となります。
(成虫対策) 部屋全体にコバエが多数飛んでいる場合はくん煙剤で、室内の成虫を駆除することも有効です。(室内全体に薬剤処理がOKな場合、処理してください。)
※コバエ類は、発生源の特定が難しい害虫ですので、発生原因が分からない場合は、害虫駆除業者へ相談することをおすすめします。